「
自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術」
(朝日新書) [新書]
下園壮太 (著)
著者は、陸上自衛隊初の心理幹部。
自衛隊のメンタルの強さは「長期戦を戦える力」であるということだ。
長期戦を戦うには、二つの要素が必要になる。一つは「
組織力」。
長期戦を戦う二つ目の力は、「
疲労のコントロール」だ。
隊員にとって、休養することは、頑張ることと同じ、いやそれ以上に必要な「仕事」なのだ。
そこで、軍隊がよく使う情報収集の視点を紹介しよう。
それは、EEI(Essential Element of Information)という考え方。敵がどのような活動をしているか分からない時、相手の行動を読んで、もしそうならどんな変化が見えるだろうかと予測し、その変化に注目して情報収集するのだ。
現代人がうつ状態になるとき、ほとんどの場合、この四つの感情が苦しみの主体となっている。
例えば、他人や世の中を変えられると思っている。
例えば、自分は周囲から大切に扱われるべきものと思っている。
例えば、努力すれば必ず報われると思っている。
例えば、正義は必ず勝つと思っている。
「対人不安」「怒り」「自信のなさ」「自責」
自衛隊では、スケジュールのことを「業務予定表」と言っている。
戦闘では、精神や肉体を極限まで使う。弾薬や医薬品を使い果たすこともあるし、車両などが故障することもある。疲労回復や補給・整備などに、必ず時間を取らなければならないのだ。その時間を取らずに戦闘を継続すると、戦闘力は著しく低下するだろう。
つまり、業務予定表は、部隊という生き物が、消耗した体力を復活させるための、「休息管理計画」であると言い換えてもいい。
例えば、今回の震災のような悲惨な出来事の後には、「何となく自分が悪い事をしているような感じ」という空気が蔓延することがある。
サバイバーズギルトと呼ばれる、生き残った者の罪悪感だ。