2015年9月23日水曜日

ロスジェネの逆襲 半沢直樹3


「泡(バブル)」と形容されるほど、奇妙な時代を作り上げ、崩壊させたのは誰なのか?
 その張本人は特定できないが、少なくとも森山たちの世代ではない。なのに、満足な就職もできずに、割を食っているのは自分たちなのだ。
就職の面接を受けるたび、プライドも自信もズタズタに引き裂かれながら、不平ひとつこぼす余裕もない。そのときの森山は、将来の不安と戦いながら、ただ打たれても這い上がるだけのつらい日々を耐えるしかなかった。

上が悪いからと腹を立てたところで、惨めになるのは自分だけだ

世の中と戦うというと闇雲な話に聞こえるが、組織と戦うということは要するに目に見える人間と戦うということなんっだよ。それならオレにもできる。
どんな世代でも、会社という組織にあぐらを掻いている奴は敵だ。内向きの発想で人事にうつつを抜かし、往々にして本来の目的を見失う。そういう奴らが会社を腐らせる

総務グループがイヤなら実力で仕事を勝ち取るしかない。それができないのなら、文句をいわないでいまの仕事をこなせ。仕事は与えられるもんじゃない。奪い取るもんだ 

「銀行には最初から仁義なんかないだろ。ハシゴ外しは得意技だ」

「仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから」 

「いつもフェアなわけじゃないかも知れない。そこにフェアを求めるのは間違っているかも知れない。だけど、たまには努力が報われる。だから、あきらめちゃいけないんだ」

半沢は尊敬に値する上司だった。
顧客を優先し、自らの地位さえ顧みない肝のすわった仕事ぶり。知惠と努力で相手を上回り、僅かな糸口から事態を逆転に導く手腕。半沢と仕事ができたのは、森山の財産だ。
その半沢が、成功故の反感を買い、サラリーマン人生の窮地に立たされようとしているのだ。 


「戦え、森山」
半沢はいった。「そしてオレも戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか」

2015年9月13日日曜日

國語元年

國語元年
紀伊國屋サザンシアター

作:井上ひさし

明治維新後は日本語が修練されていった時代だと再認識。

薩摩が言葉で鎖国していたことも。


ことばにこだわる井上ひさしらしい作品。

井上ひさしが韓国の人と知ってからは余計に複雑に観てしまう。

明治の日本人の集中力と突破力にはいつも驚かされる。

2015年9月6日日曜日

「転校生」 2015

脚本・平田オリザ
演出・本広克行
出演
逢沢凛 秋月三佳 芦那すみれ 生田輝 石山蓮華
石渡愛 伊藤優衣 伊藤沙莉 今泉玲奈 折舘早紀
川面千晶 堺小春 坂倉花奈 桜井美南 清水葉月
多賀麻美 永山香月 藤松祥子 南佳奈 森郁月
吉田圭織 (50音順)

同時多発会話
演劇は観てからの語らいも含めて完成、というオリザ作品。
命の「How」と「Why」。
すぐに慣れてしまうので、大切な舞台。

千秋楽だからなのか、一人一人机と名前が読み上げられると、
後ろに控える演者からも涙。

最後まで演じきれるかと心配していたら、そこで終了。

舞台と重なる彼女たち。
かけがえのない日常を再認識。

宮沢賢治、カフカの「変身」など文学的素養を観ている方に要求?
彼女たちの糧になるとの配慮もあるか。

核となるところに経験者を置いた組み立てもよかった。
そして
伊藤沙莉の芝居が好き。
ピアノも彼女たちだったようだけど抑えられず。

あえて2015。次の再演はいつか、愉しみにしたいと思います。

2015年9月4日金曜日

8月の推しは 「ローマ法王に米を食べさせた男」

2015年8月の読書
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2134ページ

もらい泣き (集英社文庫)もらい泣き (集英社文庫)
泣けるとは己との和解。連載中に震災があったことにより、深みが増しています。そこを読む本だと思いました。
読了日:8月31日 冲方丁

追い風ライダー (徳間文庫)追い風ライダー (徳間文庫)
ちょっとずつ輪ができてつながっていく。自転車って乗り始めたら嵌まるのかしら。ほっこりいい作品。
読了日:8月26日 米津一成

大放言 (新潮新書)大放言 (新潮新書)
言葉狩り反対。利用頻度を減らして効果的に使うでいいのでは。マスコミの情報操作も反対。ネットの時代はマスコミを叩ける時代であって欲しい。話芸ですね。面白い。
読了日:8月22日 百田尚樹


天佑なり (下) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)天佑なり (下) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)
「国にとっても、経済や金融にとっても、欠くべからざるは、信頼である」まさしく大臣。
読了日:8月18日 幸田真音


天佑なり (上) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)天佑なり (上) 高橋是清・百年前の日本国債 (角川文庫)
食べるために働くのでは、これまでのように純粋に国家のために尽くすことは、到底出来ない。想像と違い破天荒。明治は遠くなりにけり。
読了日:8月12日 幸田真音

ガールズ・ステップ (集英社文庫)ガールズ・ステップ (集英社文庫)
人生は戦いだ。誰かとの、自分との戦いなんだ。そして人生には負けちゃいけない瞬間がある。きっとわたしにとってそれが今なんだ。ラノベです。キャラが動かされている感じ。
読了日:8月4日 宇山佳佑

ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? (講談社+α新書)
長い間、間違った判断を下してきた人たちに稟議書を出して、もう一回お伺いを立てるのはおかしいと思ったんです。役人は役に立ってこそ役人なんです。どんどん続いて欲しい。
読了日:8月1日 高野誠鮮