2013年9月28日土曜日

「ヒア・カムズ・ザ・サン」 有川浩

「やみくもにお詫びに押しかけたって迷惑なだけだ。麻井先生は多忙な方だぞ」
自宅を訪ねるとしても外で会うにしても時間を取ることに変わりはない。お詫びに伺います、というのは迂闊を踏んだ側が条件反射的に切りたがるカードだが、実際のところは詫びる側が誠意を示したいという自己満足でしかないことが多い。


「親が立派な人であるべきだっていうのは、子どもの幻想だ」
ざくりと胸を切りつけられた。―自分は三十にもなってまだ子どもだということか。
「親も単なる人間だ。人間は迷うし間違うし卑しい。親だって迷うし間違うし卑しい。そういうもんだ、諦めろ」
そして岩沼はにやりと笑った。
「そのほうが楽だぞ、自分が親になったときを考えたらな」


書こうよ。作家なんだから。それが与えられた仕事なんだから。と思うわけです。
だって書きたくないですか?
書かせてくれる場があるのって幸せじゃないですか?

脚本家として、有川さんにシンパシーを感じ、尊敬していることがもう一つあります。有川さんがセリフ書きの名人であることです。
これはもう、毎回痺れます。悔しいくらいに。しかも直球のセリフです。



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