2014年2月24日月曜日

北方史記 ラスト2

史記 武帝紀 6
 (時代小説文庫) [文庫]
北方 謙三 (著)

「動く寸前には、読め。間違っていてもいいから、ひとつの読みを、心の中に抱け。そう思っていれば、かなりのところまでは、読めるようになるものだ。おまえが一軍を指揮するまでには、まだいくらか時がある。読んでから動く、という習慣をつけろ。動いて、間違った読みをしていると感じたら、動きながら修正せよ」

ひとりきりなのである。数えきれないほどの臣下と、無数の民が下にいても、頂点に立っているのは、ひとりきりだ。人を罰することはできても、自分に罰を与えてくれる者は誰もいない。

たとえば、国庫が乏しくなる。北辺で、匈奴が跋扈する。追討にさしむけた軍は、負けて帰ってくる。臣下の不正がある。賊徒の横行がある。
それらのすべてを、称賛の中で見ていなければならない。凶作で餓死する民が出ても、山海の珍味が目の前には並ぶ。

トップの言動は取り返しがつかない。当たり前として生ききるしかない。


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