2014年2月7日金曜日

「サクリファイス」にひき続き

エデン
 (新潮文庫) [文庫]
近藤 史恵 (著)

「そう決めたんです。そして、決めたとたんに急に楽になった。だから、間違っているとは思いません」

山岳ステージで逃げるメリットはふたつある。
ひとつは逃げグループに選手を送り込んだチームは、プロトンで先頭交代に加わる必要がなくなり、体力を温存できる。
そして、もうひとつ、山岳ステージゆえのメリットは、もし、後方でエースをアシストする選手がいなくなったとき、前を走っている選手が下がってアシストに加わることができるということだ。

自転車ロードレースでは、プロチームのライセンスを取るのは監督だ。スポンサーはその年によって変わるが、監督は変わらない。

ぼくはひとりでここまできたんじゃないんだ。今まで何人の日本人自転車選手が、ツールに出たいと夢見たことだろう。その夢を見て走っただれかに触発されて、またその夢を見る選手がいる。そうやって夢は受け継がれて、ぼくのところにやってきた。たまたまぼくのところで、花開いただけだ。そして、ぼくの後にも夢は続く。

ぼくは思う。
ここは、この世でいちばん過酷な楽園だ。

ロードレースの世界もわかって、実に面白い。
二度得した気分。

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