2014年3月17日月曜日

大人の童話 「平成猿蟹合戦図」

平成猿蟹合戦図
 (朝日文庫) [文庫]
吉田修一 (著)

「私、思うんです。人を騙す人間にも、その人間なりの理屈があるんだろうって。だから平気で人を騙せるんだろうって。結局、人を騙せる人間は自分のことを正しいと思える人なんです。逆に騙される方は、自分が本当に正しいのかといつも疑うことができる人間なんです。本来ならそっちの方が人として正しいと思うんです。でも、自分のことを疑う人間を、今の世の中は簡単に見捨てます。すぐに足を掬われるんです。正しいと言い張るだけが正しいんだと勘違いしているんです」

自分は正しいのだと言い切る者が勝つ。徳田と純平、どちらかより大きな声で「自分は正しいんだ!」と言えるか、ただそれだけのことだ。そして最後まで大声で叫び続けられた者が勝つ。

本当にそれが正しいと自分で思っているのか、疑うのは今じゃないと言い聞かせた。


大人の童話なので、いい人は幸福になり、大団円。
安心の吉田ワールド

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